バカいってる

これはエポックだ

「食欲・性欲・承認欲求」が描かれている by朝井リョウ

前回、あやちょ(和田彩花)の想いはこうではないか?と仮定をして、言葉をひねり出しながらブログを書いたのですが、その想いに対しての新しいヒントというか、いろんな知見を得た意見があったので今日はそれについて書こうと思います。

(本当は一話完結にしたいのですが、書きたいことが出てきました。

思い描く理想と、現実の狭間で..難しいです。)

touasuabab224.hatenablog.com

←これは彼女の曲「Une Idol」にある「偶像崇拝をしないで」という歌詞は、アイドル=偶像とラベリングされることによって観衆はアイドルから人間性を排除してしまうことに対しての警告なのではないかというふうに解釈した記事です。

 

ということで、今回、朝井リョウさんのつんく♂さんへの歌詞に対する解釈を取り上げたいと思います。

朝井リョウ

早稲田大学在学中の2009年に『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞。2013年、『何者』で第148回直木賞を受賞(男性受賞者としては戦後最年少)アイドルをテーマにした『武道館』も出版。最新作は『どうしても生きている』(幻冬社)。現在小説家だけでなく、ラジオパーソナリティも務めるなど多方面で活躍している。

 

たまたま朝井リョウさんのエッセイ『風と共にゆとりーぬ』を読んでその絶妙な語り口にしびれ、「朝井リョウ×加藤千恵オールナイトニッポン0」*1 にどハマりしました。

 

朝井さんといえば、卓越した観察眼による物事の本質を突く分析。全て皮肉に見る斜め下目線。

例えば、「シュッとしていますね」と言われたら「特徴のない顔」と取るとか*2

 

さて、そんな朝井リョウさんは大のハロプロファン及びつんく♂さんの大ファンで知られ、毎年年末にNHKラジオで、赤い公園津野米咲さんとハロプロについて語り尽くしておられます。

(私の年末の楽しみトピック)

 

さて、2017年2月5日ニッポン放送高橋みなみ朝井リョウ ヨブンのこと』で朝井さんのつんく♂さんの歌詞についての分析をしています。

 

その一、「食欲・性欲・承認欲求」が描かれている。これはまず一つ、絶対に言わないといけないこと。

 

 

 

<食欲>

・℃ute「Danceでバコーン‼︎」https://youtu.be/9NBCuOjhYXg


℃-ute「Danceでバコーン!」(Dance de Bakoon!) - Hello! Project Hina Fest 2016

3:35~該当部分

という曲の一節に「帰りにうどん食べていくわ」という歌詞

 

 このようにハロプロの歌の中には炭水化物がたくさん出てくる。

他にはソニンさんの「カレーライスの女」、エビピラフにソースをかけて食べると元気が出るという「国領」や、「津軽海峡の女」では、真夜中に粕汁を作るというとんでもない歌詞がある。

また「津軽海峡の女」には「ちやほやされるために上京した」承認欲求を表す歌詞も出てくる

 

といくつか例をあげた上で

高橋みなみさんが

「え?これはつんく♂さん狙いなんですか?」と尋ねます

そしてその答えが

朝:これはねぇ、「アイドルを人間だと思って書いている」からなんですよね。たぶんね

そして

 アイドルをアイドルとしてではなく、人として書いてるのですごく自然に食欲が歌の中に出てくる

と続きます。

 

つんく♂さんはアイドルを人間と思って書いていて、「性欲、食欲、そして承認欲求」が描かれている。食欲の次は、性欲。

 

<性欲の肯定>

モーニング娘。SEXY BOY〜そよ風に寄り添って〜」の”巷で噂のSEXY BOY”


モーニング娘。 『SEXY BOY ~そよ風に寄り添って~』 (MV)

松浦亜弥の「Yeah!めっちゃHoliday」


松浦亜弥 - Yeah!めっちゃホリディ [PV]

 

ーーーーー----(以下書き起こし)ーーーーーーーー---- 

他のねアイドルグループの作品を聞いているとね、イケメンじゃない君が好きっていう歌詞が多いなって思うことが多いんですよ。

やっぱりそこでやっぱり思いっきりイケメンが好きって言っちゃうとファンの人が

そうですよね、限定されちゃうとかわいそうですよね

じゃあなんか俺はっていう気持ちになんかなっちゃうじゃないですか

でもそんなことつんくさんは気にしません。

(中略)

 

松浦亜弥の「Yeah!めっちゃHoliday」ありますけれど

「すんげぇすんげぇ水着を着て、すんげぇすんげぇ熱いバトル」*3に行くんですよね。あの子は。それでみんな戦いに行くんですよ。

私だけがあなたの魅力をわかってるよっていういわゆるファンを救済する歌ではなくて

巷で噂のSEXY BOY行くからっていう

た:確かに堂々と言ってんなぁ

朝:そうなんですよ。その点で、その〜性欲がきちんと描かれているなぁっていうのがすごい思うんですよね。あの〜イケメンとイチャイチャしたいっていう曲がとっても多くて

ーーーーーーーーーー(以上書き起こし)ーーーーーーーーーーーーー

 この性欲の肯定は私はつんく♂さんではなくて最近ハロプロ曲を作詞してくださる児玉雨子さんで描こうかなと思ってました。(また書きます)

 

モーニング娘。の「Give me 愛」には「こんな風に人を スキになるのなんて もっと先だと思ってた」という歌詞があるんですよ。「もっと先立って思ってた」ということは、自分はいつかアイドルを卒業して恋愛することがあると思っていた、ということじゃないですか。あなたに性欲があることはおかしくないよ、あなたが恋愛をすることはおかしくないんだよ、ってつんく♂さんがアイドルの子たちにきちんと伝えているような気がするんですよ。」

 

 

 <承認欲求>

・「スカッとMy Heartモーニング娘。15


モーニング娘。'15『スカッとMy Heart』(Morning Musume。'15[Refresh My Heart]) (Promotion Edit)

・「ほめられ伸び子のテーマ曲」℃-ute


「ほめられ伸び子のテーマ曲」 ℃-ute

 

朝:これもね、すごい珍しいことだと思うんですけど。アイドルの曲で多いなって思うのがこの世界の片隅にいる私を見つけてありがとう的な、今流行ってる映画じゃないですけど。

でもそれはやっぱり安心すると思うんですよね。聞いている側が。みんなが人気の子ってよりもやっぱ僕だけがあなたの魅力をわかってあげている感覚であったりとか、そういうのがあるとやっぱり安心して応援したくなったりっていうのが湧くのかなって思ったりするんですけど。

つんくさんは真逆のことを言ってます。

おいここにすげえのがいるぞ、と。見えねえのか。っていうことを常に歌の中に訴えていることが多いです。

如実に現れた曲っていうのが2015年夏にモーニング娘。15が「スカッとMy Heart」って曲を出したんですけど。(中略)

とにかく夏ソングでいろんなアイドルが勝負曲を出してるなという印象があるんですが。2015年のモーニング娘。15の夏ソング「スカッとMy Heart」のサビの歌詞は「心の中がスカッとするまで褒めて褒めて褒めまくってよ パラダイス」っていう歌詞だったんですね。とにかく私たちこんなにすごいんだからもっと褒めろよっていう歌を夏ソングに出したんですよ。

なんか他のアイドルグループが水着着て海で踊ってるのと全然違うテイストの曲を出していて。℃uteも『褒められ伸び子のテーマ』っていう曲を昔出していて。

た:なんだろな、その統一性というか。

朝:素晴らしいですよね。この曲も「すごいよねって褒めまくり かわいいねってあげられまくり そんでもって伸びて行く。褒められ伸び子よ」っていう歌詞があるんですけど 素晴らしくないですか。本当に素晴らしい。承認欲求がある。

この3つ。まず!!

 

以上「高橋みなみ朝井リョウ ヨブンのこと」2017/02/05放送の書き起こしでした。

 

私は、最初この放送を知り聞いたときに朝井さんの的を得た分析にいたく感動し絶対これはブログで解説を書くと息巻いたわけなのですが、朝井さんの言葉の選び方、論が完成されており私の筆が入る余地がなかったです。ただ気づいたことを書きます。

 

「 アイドルをアイドルとしてではなく、人として書いてるの文に私が描きたい事が如実に表れていると思いました。

最初に聞いたときは全く引っかからなかったんですが

何回か聞いているうちに「あれ?」とすごく違和感を感じたんですよね

 

特に「アイドルとしてではなく人」というところがアイドルを取ったら「人」が出てくるんだ。みたいな(笑)アイドルに否定形をくっつけて人っていうことの驚きがすごく来ました。

 

アイドル≠人ってっていう前提がないと、するっと出て来ないこと。そして私自身がこの部分を聞いても最初違和感を感じなかったことに対して

それはアイドルは人間とは一種隔絶した位置にいるってことが私たちの「当たり前」であるっていうことをすごくあらわしている一文だなと、実感を持って痛感しました。

 

 私は、あやちょの言葉を解釈して「アイドル」という言葉の人間性排除の傾向に対する警告であると前回書いたわけなんですが、そういう傾きがあるんじゃない?という疑問だったんですが、私が思ってる以上に前提化しているんだと思います。

 

ただ、このトークの最初に朝井さんは

アイドルというのは「食欲・性欲・承認欲求がないと良いな」と思われている生きものだと思うんです。

 

 このように「思われている」っていう定義付けをしており、社会的にアイドルはアイドルと思われている存在ですよねと先に述べていており、そのことを自明としていません。その部分に朝井さんの小説家としての言葉に対する厳密な姿勢に感嘆しました。

 

さて、このように持っていた仮定は朝井リョウさんの言葉によって想像以上に前提化されていた〜と読み取れたわけなんですが、もう一つ書きたい事!

それは、つんくさんを含めた「アイドル」を作る側の意識というものに迫って行こうと思います。

P.S

また終わらなかったですね。(疲れた)

私の論の立て方、そして文章能力に絶望しながらこの3週間更新を滞らせておりました。やっぱり感覚が近くなるゆえにデスマス調は感情論になりがちだなぁと思うので今度の記事は、常体に戻します。

 

P.P.S

そういえばつんくさんのアンジュルム曲が出ましたね!!

最高です!!!!(何よりPVが)

f:id:touasuabab224:20191130232722j:plain

 

*1:

www.allnightnippon.com

*2:

miyearnzzlabo.com

*3:

”すんげぇ すんげぇ すんげぇすんげぇ水着

すんげぇ すんげぇ すんげぇすんげぇ オシャレ

女の子達みんなが勝負時  ライバルなんか負けないぜ

すんげぇ すんげぇ すんげぇすんげぇ熱い

すんげぇ すんげぇ すんげぇすんげぇ バトル”